お知らせ

2023/08/17

VSP工房筆録2〜測定記録は財産です〜

こんにちは、vsp音楽企画の大垣です。

ピアノには弦を叩く部品にフェルトを使用しているのですが、このフェルトの質と状態によって音が大きく変わってきます。今回オーバーホールでハンマーヘッド交換も行いましたのでおおまかにご紹介いたします。

フェルトも各種メーカーによって特徴がありますが、今回はアベル社というドイツ製のフェルトを使用しました。古いハンマーから出来るだけ正確に穴の位置と角度を測定します。この数値がどれだけ正確なのか、それでハンマー交換の良し悪しが決定すると言っても過言ではありません、測定した数値も後々のため記録を残しておきます。

実はこうした記録をしっかり残して行こうと思って実行し始めたのはここ1、2年で、以前まではメモ程度で残していただけでした。もっと早くこの事に気がついて実行していればと反省しております(今は時間を見つけては以前のメモ書きをまとめています)

測定数値から各ピアノを比較してみると、メーカーの設計傾向やピアノ自体の構造を理解するのにとても参考になります。

後は数値通りに新しく穴を開けて取り付けて行くだけです。また、以前のハンマーと形状が完全に同じということは無いので新しいハンマーに合わせて調整をします。

ハンマー交換はピアノ修理の中でも費用的には大掛かりな作業になりますが、その分得られる効果は大きいです。私たちがしている作業は演奏のための下地造りで実際は演奏する方が弾き込んでそのピアノの音を創って行くのだと思っています。